まずは「全期間固定型」について。
これは、返済額も金利も完済までずっと変わらないという、非常にわかりやすい金利タイプですが、金利も高いし、実際の所はどうなのでしょう?
低金利時代は、大体1995年前後から始まっています。
途中で多少の上下はあったものの、20年以上もの間、今の低金利水準を維持してきました。
おそらく、1995年あたりで「またそのうち金利は上がるだろうと」全期間固定金利型で住宅ローンを組んだ人は、変動金利型の金利タイプを選択した人に比べ、この20数年間かなり多くの利息を支払ってきたはずです。
過去30年の住宅ローン金利の推移を見れば、誰もが「絶対、変動金利」と思う所ですが、すべては結果論でしかありません。
逆に、もし超低金利時代がこれだけ続くことなく、どこかで金利が急上昇するようなことがあれば、変動金利を選択した人は支払い利息に苦しみ、減らない借入残高を見ては溜め息をつく毎日だったでしょう。
だけど、全期間固定金利を選択した人はその後も変わりなく、安泰な毎日を送ることができたはずです。
金利は一体どのように推移するのか、これは皆さんもご存じですね?
社会情勢の影響を受けて変動します。
景気が良くなれば人々の消費活動が活発になり、物価も上がります。
お金を借りたい人も増えるので、金利も上がります。
対して、景気が悪化すると消費が落ち込むので、金融緩和政策により金利の引き下げが行われます。
なかなか実感が伴わないながらも、今、日本の景気は緩やかに回復に向かっており、今後も景気の拡大は続くと見られています。
長期的に見れば、どこかで金利は上昇を始めるでしょう。
しかし、2019年は消費税の引き上げによる消費の落ち込み等の影響が考えられるため、当分の間は今の低金利水準を維持するための金融政策を継続するとされています。
このように考えると、現時点での全期間固定金利型という選択は悪くありません。
完済までずっと返済額が変わらないわけですから、賃貸の家賃を払うのと同じような感覚で住宅ローンを支払っていけるという、安心感があります。
それでは、固定期間選択型というのはどういう金利なのでしょうか。
一番人気は10年固定。
10年間は全期間固定金利よりも低い金利が適用されるので、なんとなく「こっちの方が得かな」と思って選んでしまいがちですが、当然、固定期間が終わった時に金利が上がっていれば、11年目から返済額が増加します。
そして、実は固定期間選択型の金利には、金融機関の窓口では教えてもらえない大きなデメリットがもう一つ。
固定期間選択型には、2つのタイプの優遇金利が設定されています。
当初の固定期間は金利が大きく引き下げられるタイプの優遇金利と、固定期間に関わらず返済期間中ずっと一律の優遇金利が適用されるタイプ。
固定期間中の金利が優遇されるタイプでは、固定期間が終わった翌年…10年固定であれば11年目から引き下げ幅が大幅に縮小されます。
その分、当初の優遇金利は、返済まで一律の優遇金利よりも低めに設定されています。
固定期間選択型の住宅ローンには変動金利のような125%ルールもありませんから、返済金額の上限もありません。
結局の所、10年固定金利で、その後どこまで返済額が増加するかなんて予測もつきませんし、全期間固定金利型を選択した所で更に20年、30年と低金利が続く可能性がゼロだとも言えません。
10年後のご家庭のお金の出入りも考えながら、何を選択すればリスクを最も低く抑えることが出来るのか、ご家族でじっくりと話し合ってみて下さい。