家を購入する際、自己資金で全額まかなえるという方はかなりの少数派で、多くの方は住宅ローンを組んで、毎月少しずつ支払っていくことになります。
ですから、マイホームの取得を考えた時には、不動産会社やハウスメーカーさんと、銀行へ住宅ローンの相談に行くわけですが、ここで悩むのが、
「固定金利にするか」
「変動金利にするか」
ということ。
聞き慣れた言葉ではありますが、具体的にどういった違いがあるのか、それぞれにどういったメリットとデメリットがあるのかは、ご存知ない方が多いでしょう。
ここで少し、説明させていただきたいと思います。
それが、『固定金利』と『変動金利』。
だけど実際は、金利は上記の2つだけではなく、「変動金利型」と「全期間固定金利型」、そして「固定期間選択型」があり、その他にもフラット35Sに代表する「段階金利型」や、変動金利と固定金利を組み合わせた「金利ミックス型」というものもあります。
それでも、やはり、人気は「変動金利型」ですね。
住宅金融支援機構から発表された、2018年度の『民間住宅ローンの貸出動向調査結果』によると、2017年度の金利タイプ別、貸し出し実績は「変動金利型」が半数以上。
次いで、「固定期間選択型」(10年)という結果でした。
簡単に、それぞれの特徴を説明しておきます。
まず、「変動金利型」。
半年ごとに金利が見直され、返済額の見直しは5年毎に行われます。
つまり、金利が見直されても5年間は返済額が変わらないということ。
「全期間固定金利」は、名前の通り、完済までの期間ずっと同じ金利が適用されます。
返済額も変わりません。
そして、「固定期間選択型」。
3年固定にすると3年間、10年固定にすると10年間、当初と同じ金利が適用されます。
固定期間が終わったら、再び固定期間を選択するか、もしくは変動金利に切り替えるかを選択します。
将来的な金利の推移は、誰にも予測がつきません。
ですが、「超低金利時代」といわれるような低金利がもう何年も続いていることは、おそらく皆様ご存知でしょう。
しかし、こんな低金利がいつまで続くわけもなく、今の低金利時代はいつかは終わります。
もしかしたら、それはそんなに先のことではないかもしれません。
「金利が安いから」という理由で『変動金利』を選んだものの、5年後には返済額が想定外に増えているかもしれないのです。
とは言っても、実は『変動金利』には「これまでの返済額の125%が上限」という、いわゆる125%ルールといわれる、リスク軽減のための措置があります。
例えば、それまで毎月8万円を返済していたとして、その後、金利がどれだけ上昇したとしても見直し後の返済額は10万円より増えることはありません。
ところが、この125%ルールが一概に『変動金利』利用者のための救済措置と言えるかどうかは難しい所で、あまりに急激に金利が上昇した場合、未払い利息が発生する可能性が出てきます。
125%ルールはあくまでも「返済額を抑える」ためのものであり、返済額を上回る利息が免除されるというものではありません。
払うべき利息を後回しにしているだけなのです。
返済額の見直しも、5年間ずっと当初の金利が適用されているわけではなく、金利の上昇によって返済額を上回った分の利息は、未払い利息として次回以降に繰り越されているだけ。
金利の上昇が長期に渡ると、このように未払い利息が嵩んで借入残高が減らないどころか、残高が増えてしまうことも考えられます。
『変動金利』にはそうしたリスクもあるのだということを、ぜひ覚えておいて下さい。