大学に通うために借り入れし、社会人になって20年などの長期返済をしていく奨学金。
奨学金を返済中の方は借金だという意識がない方が多く、なんとなく自動車ローンやカードローンとは違う性質のものだと思われている方がいらっしゃいます。
そこで気になるのが、住宅ローンの審査への影響です。
今回は、住宅ローンの審査に奨学金が影響するのか、お話ししたいと思います。
住宅ローンに影響するの?
結論から言いますと、奨学金は住宅ローンの審査に影響することがあります。
住宅ローンの審査では、3つの個人信用情報機構(全国銀行協会、CIC、JICC)で信用情報を閲覧しますが、この3つのうちどれかに加盟している奨学金制度であれば、審査に影響します。
たしかに借金という感覚を持ちにくいですが、自動車ローンやカードローンと同じように普通の「借金」になります。
したがって、その分審査が厳しくなり、返済比率と延滞履歴が重視されます。
ここでは、信用情報に加盟している奨学金制度であることを前提にお話しさせていただきます。
返済比率とは?返済比率とは?
返済比率とは、年収に対してローン返済額が年間どのくらいあるのか、その割合を言います。
住宅ローンの審査ではこの返済比率が重視され、たとえばフラット35では、年収400万円未満は30%まで、年収400万円以上は35%までと、上限が決められています。
たとえば、下記の例をみてみましょう。
- ・年収:400万円
- ・ローン年間返済額:120万円
この場合、返済比率は「120万円÷400万円=30%」になります。
フラット35では年収400万円以上は35%までとなっていますから、30%だと審査基準に満たしています。
ただ、奨学金の返済をしている場合は、その返済額も合わせて計算しなければなりません。
たとえば、下記の例を見てみましょう。
- ・年収:400万円
- ・住宅ローン年間返済額:120万円
- ・奨学金年間返済額:24万円
上記の場合は、返済比率は「(120万円+24万円)÷400万円=36%」となり、上限35%をオーバーしているため、基本的には審査に通りません。
このように、奨学金を返済している場合は、返済比率により住宅ローンの審査が厳しくなります。
それを回避するには、物件価格を下げるか、または奨学金を完済するか、頭金を用意するか、などの方法を考える必要があります。
これについては奨学金だけでなく、自動車ローンやカードローンなども同様になります。
延滞履歴とは?延滞履歴とは?
奨学金の返済を過去に延滞したことがある方は、個人信用情報に延滞者として登録されているため、住宅ローンの審査がかなり難しくなります。
さらには、延滞者として登録された場合、返済完了して5年経過しないと削除されません。(参考:日本学生支援機構)
言いかえれば、完済して5年経過しないと住宅ローンが組めないことになります。
ちなみに、日本学生支援機構では、個人信用情報に登録されるのは、延滞3ヵ月以上の場合です。
したがって、1~2ヵ月の延滞であれば、履歴に残りません。
これについても公式サイトに書かれています。
不安な方は、有料にはなりますが自分で個人信用情報をみることができますので、確認する方法もあります。
まとめ
住宅ローンの審査において、奨学金は自動車ローン等と同様「借金」として審査されます。
したがって、返済比率や延滞履歴が重視されます。
返済比率などご不安な方は、一度専門家に相談されてみてはいかがでしょうか。
何かお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。