ホームステージングは「不動産物件をより早く、より高く」売るための手法というのが、基本的な考え方です。
例えば、住宅展示場のモデルハウスなど実際に人が住んでいるわけでもないのに、インテリアが見栄え良く配置されていますよね。
そして実は、開けてみないとわからないキッチンの収納や引き出しの中にも、適度に調理器具やおしゃれな食器、雑貨などが収まっていたりします。
空っぽの室内というのはやけに音も響くし、なんとなく寒々しい雰囲気がありませんか?
その室内をモデルルームのように家具や小物で飾るだけで、来場したお客様に好印象を与え、実際の暮らしをイメージしてもらうことが可能になります。
それと同様に、中古住宅も裸で売るのではなくきちんとステージングを施すことで、内覧に来たお客様にリアルな生活環境を体験してもらうことができる。
結果、その中古住宅はより早く、より高く売れるというわけです。
そして、ホームステージングは、見方によれば買主側のメリットにも繋がります。
そもそも、ただ売りたいだけであれば、モデルハウスのキッチン収納の中まで飾り付ける必要はありませんよね?
ところが、そのようにして収納の中にも小物を配置することで、お客様は、
「この収納は、こういうふうに使えばいいんだ」
と、イメージしやすくなる。
収納だけではありません。
例えば、6畳の寝室があったとします。寝室と言われても空っぽの部屋では、
(ホントにここにベッドが置けるのかな…)
と、心配になったりしませんか?
ところが、ここにシングルのベッドが2つ並べて置かれていると、
(これくらいの大きさのベッドを置いても、ちゃんと通路幅はこれだけ確保できるんだ)
ということが、実際に目で見てわかります。
ダイニングのテーブルの置き方ひとつでも、
(テーブルをこの向きで置いてあそこにテレビを置けば、ご飯を食べながらテレビを見られるのか)
ということがわかりますし、子供部屋が4畳半と少し狭いかなと思っても、ちょっとしたデスクとベッド、本棚くらいは置けるんだということがわかれば、買う側も安心できるのではないでしょうか。
つまりステージングは、ただ家の中を美しく飾って買主の目を眩ませているわけではなく、実際の生活をイメージしやすいよう、そして購入した後の後悔がないようにという、買主に対する配慮でもあるのです。
こういった配慮があるからこそ、ステージングされた中古住宅は高く、早く売れるわけですが、ステージングはただ単に美しく家具や小物を飾っているだけではありません。
基本のプログラムを元に、様々なテクニックを用いて配置が考えられています。
具体的には、買主であるお客様が玄関を開けた時、そしてLDKのドアを開けた時、目線がどこを向いているかという視覚的な部分を重視します。
ですから、ドアを開けた時の目線の先には素敵な絵が飾られていたり、グリーンが置かれていたりするはずです。
このような配慮によって、美しく落ち着いた空間作りが行われているわけですが、そのステージングされた中古住宅を購入することになった場合。
もし、インテリアのセンスに自信のない人であっても、その家具の配置や小物使い、色遣いを真似するだけで、あなたは何の苦労もなくおしゃれなインテリアの中で生活することができるわけですから、便利ですよね。