住宅ローン減税についてのお話の中で、控除金額が所得税よりも多かった場合は、残りの控除額は翌年の住民税から差し引かれるとお伝えしました。
但し、住民税から控除される控除額には上限があって、最大13万6,500円だということも。
実はここ、とても大事な所なんです。
しっかりご理解いただけるよう、もう少しわかりやすく説明したいと思います。
金融機関へ住宅ローンの相談に行かれたことのある人なら、「ご主人お一人で組まれますか? ご夫婦連名にされますか?」という質問を、きっと担当者から受けていらっしゃることと思います。
その時に、もしかしたら『住宅ローン減税』の説明も簡単に受けているかもしれませんが、多分、なかなかその場では頭に入って来ませんよね。
実は、この住宅ローン減税。
ご主人一人で住宅ローンを組むよりも、ご夫婦連名でローンを組んだ方が得な場合があるんです。
それを今から、具体的な数字を使ってお伝えします。
年末の住宅ローン残高が2,500万円だったとします。
源泉徴収した所、ご主人の所得税額は20万円でした。
控除額はローン残高の1%ですから、25万円です。
所得税の20万円から控除額の20万円を差し引くと5万円残りますから、その5万円はご主人の住民税から控除することになります。
それでは、年末ローン残高が3,500万円あった場合はどうでしょう。
3,500万円の1%ですから、控除額は35万円です。
まず所得税の20万円から控除を受け、残り15万円は住民税から引かれるわけですが、ここで最初にお伝えした、
『最大13万6,500円』
という上限金額が問題になってきます。
つまり、控除できる額は残り15万円あるのに、上限である13万6,500円しか引いてもらえないのです。
そこで、ご夫婦連名で住宅ローンを組んだ場合はどうなのか、考えてみましょう。
年末時点での、ご主人名義での住宅ローン残高が2,500万円、奥様名義での住宅ローン残高が1,000万円だったとします。
所得税額は仮に、ご主人が20万円で奥様が10万円とします。
残高2,500万円の1%ですから、ご主人の控除額は25万円。
所得税の20万円は全額控除され、残り5万円は住民税から引くことができますね。
次に、奥様の控除額は1,000万円の1%で10万円ですから、所得税から10万円全額控除されます。
いかがでしょうか。
住宅ローン残高は、合計すればどちらも同じ3,500万円です。
控除額も同じ、35万円です。
それにも関わらず、ご夫婦連名で住宅ローンを組んだ場合には35万円全額控除を受けられるのに、ご主人一人で住宅ローンを組んだ場合は、33万6,500万円しか控除されないというわけです。
これが、ご主人一人で住宅ローンを組むよりも、ご夫婦連名でローンを組んだ方が得な場合があるとお伝えした理由です。
住宅ローンの金額やご主人の所得税額、住民税額によっても異なりますので、これから住宅ローンを組まれる予定の方は一度計算されてみてはいかがでしょう。