不動産の売買は、土地・建物・設備のような物理的な引き渡しと、所有権などの権利も同時に譲渡されます。
所有権とは、ものを自分の欲するままに使用・収益・処分することができる権利です。
売買契約書では、「買主の所有権の行使を阻害する一切の負担を除去抹消する」という明記がされています。
所有権の行使を阻害する権利には、「差押え」「仮登記」などの登記、「抵当権」「根抵当権」などの担保権、「地上権」「地役権」「登記された賃借権」などの用益権などがあります。
売買契約後に「そんな権利しらなかった!」とならないためにも権利に関してみていきましょう。
所有権(甲区)・所有権以外の権利(乙区)をしっかり確認しよう
重要事項説明書・売買契約書で、所有権に関わる権利(甲区)と所有権以外の権利(乙区)の記載があります。
普段の生活で聞きなれない言葉なので疑問に感じることもあると思います。
所有権に関する権利(甲区)が設定されている場は、注意が必要です。
所有権に関する権利には、差押え・仮登記などがあります。
差押えが設定されていても売買は可能です。
しかし、競売や公売によって取得した買受人に対して、所有権を主張できません。
せっかく購入した物件が、他人のものになってしまいます。
差押えや仮登記が設定されている物件を購入する場合、解除されることを確認してから購入するようにしましょう。
所有権以外に関する権利(乙区)には、抵当権・根抵当権などの担保権、地上権・地役権・登記された賃借権などの用益権が記載されています。
抵当権や根抵当権の設定は、売主が住宅ローンなどの借り入れがあるということです。
不動産会社で売買残代金の精算時に、借入金を返済することができるか確認をしています。
借り入れ金の返済ができれば、抵当権・根抵当権を抹消することができますので心配する必要はありません。
注意点としては、地上権や地役権の設定です。
地上権とは、他人の土地に建物所有できる権利です。
たとえば、地下に地下鉄が通っている土地の場合などに設定されています。
地役権とは、他人の敷地を利用する権利です。
たとえば、電力会社や電話会社の電線が土地の上空を通過している場合などに設定されています。
地上権や地役権が設定されている場合、自由に建物が建築できない場合がありますので注意しましょう。
不動産に関する権利には、所有権、担保権、用益権などさまざまあります。
所有権以外の権利は、何らかの制約を受ける権利のため、引き渡しの条件として、権利の抹消を求めた方がよいでしょう。
しかし、地上権や地役権のような容易に抹消できない権利もあります。
地上権や地役権の設定がある場合、購入の目的が果たせる内容になっているかを確認することが重要です。