一戸建ての売買では、土地の売買対象面積について、売主と買主の合意によって「公簿売買」か「実測売買」なのかを決定します。
「公簿売買」とは、実際の土地の広さに関係なく、登記簿上の面積で契約を行う契約です。
契約後に登記簿面積と実際の面積に誤差があったとしても、お互いに異議を述べず、また売買代金の精算も行わない取引です。
「実測売買」は、登記簿上の面積で仮の売買価格で契約を行います。
※契約時に土地の㎡単価・坪単価を決定しておきます。
契約後に実測面積が判明した段階で、登記簿上の面積との誤差を精算する契約です。
「実測売買」は、正確な面積で売買代金を精算するため、トラブルになる可能性が低くなります。
一方、「公簿売買」は、正確な土地面積が不明なまま契約を完了しますので、面積に大きな誤差があるとトラブルの可能性が高まります。
今回は、トラブルの可能性が高い「公簿売買」ついてみていきましょう。
なぜ登記簿面積と実測面積に誤差があるの?
登記簿面積と実測面積に誤差が生じることに、疑問を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
登記簿面積と実測面積に誤差が生じる理由はさまざまありますが、測量技術の進歩・残地・人的ミスが代表的な理由です。
測量技術の進歩
昭和35年ごろの平版とそろばんを使用していました。
しかし、現在はトータルステーション・GPS・パソコンなどを使用していますので、精度の違いから誤差が生じます。
残地
昔は、地主が大きな土地を所有していましたが、切り売りして現在のような小規模の土地ができています。
※すべての土地が地主が所有していたとは限りません。
小分けにする際に、切り売りする方の土地しか測量していなかったため、最後に残った土地の誤差が大きくなってしまいます。
たとえば
1,000㎡の土地を、100㎡で9回切り売りしたとします。(誤差があり実際の面積が1,050㎡)
9個目までの土地は、100㎡ですが、10個目の土地は150㎡と誤差が大きくなります。
人的ミス
測量は、ロボットではなく人間が行います。
いくら正確に測量を実施しても、数センチ程度の誤差が発生する場合があります。
補足
本当に正確な境界点は、誰にも分かりません。
現在の最新器材を使用しても、計測するたびに数mm・数㎝の誤差がでます。
そのため測量には、認められている誤差(公差)がありますので、数㎝誤差があるからといって、登記簿面積が間違っているわけではありません。
公簿売買のメリット・デメリット
公簿売買のメリットは、測量を実施する必要がありませんので、時間と費用が節約できます。
公簿売買のデメリットは、登記簿上の土地面積と実際の土地の面積に大きな誤差があり、買主の購入の目的が達せられない場合は、契約の解除を求められる可能性があります。
公簿売買の売買代金の精算
売主・買主が公簿売買を承諾し、重要事項説明書や契約書に記載してある場合は、登記簿面積と実際の面積に誤差があったとしても、売買代金の精算の必要はありません。
注意点
公簿売買で取引をしたとしても、売主に境界の明示義務がありますので、境界標を明確にしておきましょう。
まとめ
一戸建ての売買対象面積を確定する方法は、売却の手取り金額に影響します。
公簿売買で取引をしようとする場合は、売主・買主共に公簿売買について理解し、土地の増減のリスクを許容することが大切です。