中古住宅を買うと決めたものの、築年数が古ければ古いほど、
「本当にこの家で大丈夫なのか?」
「住み始めてから雨漏りなんてしないかな」
と、どうしても気になってしまいますよね。
そこで、既存住宅状況調査技術者の実務を元に、目視で出来る簡単な中古住宅のチェック方法をお教えしたいと思います。
それでは、建物外部のチェックから始めましょう!
最初に見る所は「基礎」。
まずは、著しいひび割れがないかどうかをチェックします。
コンクリート直仕上げの場合は幅0.5mm以上又は深さ20mm以上、表面をモルタル等で仕上げてある場合は、コンクリート下地面まで達する幅0.5mm以上、深さ20mm以上のひび割れがないかどうか。
モルタル等の仕上げ面のひび割れは、見た目の問題だけでさほど重要ではありません。あくまでも、構造体のひび割れをチェックするのだと考えて下さい。
インスペクターは「クラックスケール」という特殊なスケールを使用してひび割れの幅を計測しますが、普通の定規を当てるだけでも目安にはなるでしょう。
ひび割れの深さは、ピアノ線のような丈夫で細長いものを差し込むなどして計ります。
幅や深さに関わらず1m程度の広範囲に及ぶクラックや欠損がある場合にも、注意が必要です。
また、コンクリートの欠損により鉄筋が露出しているのはもちろんのこと、錆汁が基礎表面に滲み出していたり、白華現象といって表面が白く粉を拭いたようになっている場合にも、コンクリート欠損部から水が浸入していたり、鉄筋が腐食している恐れががありますから、補修が必要となるでしょう。
もちろん、蟻道がないかどうかの確認もお忘れなく。
土のようなものが線状になって基礎表面を伝っていたら、それが蟻道。つまり、シロアリの通り道です。
これら基礎のチェックは、外部だけでなく内部もチェックしておくといいですね。
床下点検口を開けてもらい、中をのぞき込んで見える範囲だけでも、大きなクラックや欠損、蟻道がないかどうか確認します。
床下点検口があることは、中古住宅を選ぶ上で最低限、必要な条件だと思って下さい。
では、次に外壁を見ていきます。
塗り壁やタイル貼りの場合は基礎と同様、下地面まで到達するひび割れや欠損、そして仕上げ面の浮きや剥がれがないかどうかをチェックします。
サイディングの場合は下地のチェックの他、著しい錆や腐食がないかどうか。
バルコニーやベランダがある場合は、歩行した際のぐらつきがないか。
部材の錆や腐食などの劣化がないか。
防水層の表面にひび割れや欠損がないかどうかも確認しておきましょう。
その他、外壁のチェックで大切なのは、シーリング材の状態です。
シーリング材に破断や欠損があるとそこから雨水が侵入する可能性が高くなりますので、目視でチェックできる限りの範囲をしっかり見ておきましょう。
軒裏のシーリング材の状態や、軒天に雨漏りの跡がないかどうかも確認します。
雨樋の破損がないかどうかも見ておいて下さいね。
屋根については家の外から、そして窓を開けた時やバルコニーに出た時などに目で見える範囲で構いませんので、屋根材の破損や浮き、ズレ、その他の劣化がないかどうかを確認しておきましょう。
中古住宅ですから、多少の不具合はやむを得ない部分もあります。
そもそも、インスペクションや既存住宅状況調査は「この家を買うか、買わないか」という判断のために行うものではなく、「購入する前にリスクを知っておく」ということを目的として実施するものです。
リスクを知った上で購入し、補修をして住む。
これだけでも、中古住宅を購入する上での安心感に繋がるのではないでしょうか。