先日、中古住宅の購入をご検討中の皆様のために、既存住宅状況調査技術者の実務を元にした、目視で出来る外周部のチェック方法についてお伝えしました。
今回は建物内部。室内からのチェック方法と注意点について、お伝えしたいと思います。
“建物外部編”の中で、基礎の点検をする際には、できれば床下点検口から基礎の内部の状態も確認しておくとよいとお伝えしました。
その際、基礎コンクリート部分だけでなく、土台や床組と言った木部もしっかりチェックしておきます。
著しいひび割れや欠損がないか、腐食や蟻害がないかどうか。
特に、構造材と構造材の接合部の状態を確認しておくことは大切です。金物が緩んでいないか、錆びていないか。接合部に隙間がないか、などなど。
床面に関しては、家中を歩行しながら沈みがないか、腐食やひび割れなどの劣化がないかをチェックします。
インスペクターの調査の際には、目視で「床に傾斜がある」と確認された場合はレーザー水準器により傾斜を計測しますが、建物の構造に問題があるような著しい傾斜であれば目視や歩行した感覚でも十分わかります。
そのような著しい傾斜がある場合、建物そのものが傾いているか、場合によっては地盤が傾いている可能性も考えられますので、注意が必要ですね。
柱や梁に関しては、和室など真壁構造になっている居室で露出した柱にひび割れや欠損がないかどうかをチェックします。
天井点検口から小屋裏をのぞかせてもらい、梁に著しいたわみがないか、木材に腐食や欠損がないか、もちろん接合部の状態も確認をしておきます。
鉄骨造の場合は、接合部の溶接の状態や、錆が出ていないかどうかもチェックします。
次に、内壁や天井の目視チェックです。
下地材まで到達するひび割れや欠損はクロスの上からでもわかる場合があります。
クロスが浮いている箇所があれば、ちょっと手で触れてみるなどして確認してみましょう。
天井部分も同様に、目視でわかる範囲で下地にひび割れがないかどうかを見ておきます。
室内に入ると、どうしても内装仕上げや設備に気を取られてしまいがちですが、大切なのはやはり構造部分です。
ですから、壁に傾斜がないかどうかもしっかりチェックしておきます。
著しい傾斜は目視でも判断できますし、建具はすべて開け閉めして、スムーズに開閉できるかどうか、閉めた時に建具と枠の間に隙間がないかどうかを確認します。
内壁、天井のチェックにおいて重要なのは、雨漏りの跡がないかどうか。これは全室きちんと目視チェックして下さい。
壁であれば、サッシの周囲から水が入ることが多いので窓枠の周りにシミがないかどうか。
天井は部分的に雨ジミが広がっている場合もあれば、天井と壁の境目から滲み出したようにシミになっている場合もあります。
汚れとの見極めが難しい部分もありますので、気になる場合は天井点検口から小屋裏をのぞいてみましょう。
雨漏りがある場合は、そのシミの付近の木部にも黒ずみや腐食など雨漏りの跡がみられる可能性があります。
ひょっとしたら、中古住宅の内覧に行って床下や小屋裏まで見る人は少ないかもしれません。
だけど、数千円、数万円の買い物とは違って、住宅は一生ものです。
住み始めてから「しまった」「失敗した」ということにならないよう、チェックできる箇所はできるだけ仔細に見ておきましょう。
そして、それでもまだ不安だという方は、建物状況調査(インスペクション)を依頼してはいかがでしょうか。
大体、基本項目で5万円~という料金設定が多いと思いますが、まず自分自身で目視確認し、ある程度の目星をつけた物件だけに利用するのであれば、インスペクションに10万円、20万円かけたとしても、決してムダにもならないはずです。